<政治・社会>自民党の圧勝と危機の始まり

まだ開票作業が始まったばかりだが、今回の選挙での自民党の圧勝はほぼ間違いないだろう。これで、自民党内の「抵抗勢力」は、ほぼ一掃されたことになる。

しかし、これはある意味において、小泉首相にとって有用な「敵」もしくは「スケープゴート」が失われたことを意味する。小泉政権下での停滞は、「抵抗勢力」や「官僚」に責任を帰すことにより、その責任の所在を曖昧にすることができた。言い換えれば、「抵抗勢力」の存在こそが、小泉首相の高支持率をもたらしてきたのだ。ところが、「抵抗勢力」なき今、スケープゴートとして利用できそうなのは、もはや官僚ぐらいであろう(その意味で、官僚に対する風当たりは今後、より一層強くなることが予想される)。

しかし、今後、小泉政権下での経済政策が更なる行き詰まりを見せたとき、官僚批判だけでそれを乗り越えることができるとは考えづらい。したがって、その責任は明確に小泉政権に帰せられることになるだろう。これまでの「包括政党」としての自民党では、派閥間での抗争が一種の擬似政権交代をもたらしてきたわけだが、一元化の進む今後の自民党ではそうしたメカニズムが働くか否かは疑問の残るところである。

以上のことから、今後、小泉内閣の政策がうまくいけば良し(現在の方向性を見るかぎり、その可能性はあまり高くないと考えるが*1)、うまくいかなければ自民党は国民の支持を一気に失う可能性がある。さらに言えば、今回の大勝利は、小泉首相のリーダーシップに期待する無党派層に拠るところが大きい。しかし、無党派層は非常に気まぐれであるがゆえに無党派層なのである。

その意味で、政党内の「純度」を高めるという小泉首相の戦略は諸刃の刃なのであり、今回の自民党の大勝利は、地滑り的な大敗北を防ぐためのブレーキを放棄することによって得られたものだとも言えるかもしれない。

*1 もっとも、郵政民営化を除けば、小泉内閣にはさして一貫した方針はないような感もある。したがって、気づけば景気を優先させる方向へとシフトさせていたという可能性もあるような気がする。

他方、今回の選挙で目立ったのが民主党の体たらくである。今後、民主党の再生にとって必要なのは、小泉改革に取り残される層の取り込みであろう。そのためには、現在の「構造改革原理主義」を根底から改め、マス・メディア等により「既得権益」と結び付けられることなく、「景気回復なくして構造改革なし」という原理を追求する必要があるのではないだろうか。

ただし、「構造改革原理主義」は、マス・メディアの発する言説に非常に深く浸透している。「無駄な公共事業」を糾弾する声は今後もおさまりそうもない。その意味で、仮に景気優先の方針を採るにしても、次の民主党党首はマス・メディア対策を徹底的に行わないかぎり、「政局の天才」たる小泉首相に一矢を報いることはできないだろう。
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  by seutaro | 2005-09-11 21:21 | 政治・社会

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