<政治・社会>次の「敵」は誰か?

昨日のエントリでも書いたが、今回の選挙で自民党がこれだけ大勝した理由の1つに、「わかりやすい悪玉」がいたということだろう。ポピュリズムにおいてしばしば見られるのが、二項対立的思考、つまり「善玉」と「悪玉」とにくっきり分かれた世界像である。今回の選挙では「改革勢力」と「抵抗勢力」とが郵政民営化を軸にはっきりと二分され、中途半端な「改革勢力」たる民主党はその対立の狭間に埋没せざるをえかなった。

しかし、今回の自民党の「純化」を通じて、政治の停滞を「抵抗勢力」のせいに帰することは難しくなった。それでも小泉内閣が高い支持率を維持しようとするならば、新しい「敵」が必要になる。すでに、新たな「敵」が誰になるのかは他のサイトでも検討が行われているが、ここでもその「敵」について考えてみることにしよう。

ところで、これは前から感じていたことだが、今の若い世代(特にネットでよく見かける論客)には、「被害者意識」が非常に強い。これだけ不況が続き、若年層の失業率が高ければ当たり前だという気もするが、経済的な側面ばかりではなく、とにかく「戦後社会」に対する怨嗟で満ち満ちているように感じる。そこで、適当に「加害的存在」を意味するキーワードを挙げてみると、次のような感じだろうか。

既得権益(内容は曖昧)、高齢者、公共事業(地方による中央の収奪)、役人、規制に守られた企業、ゼネコン、労働組合、日教組、マス・メディア(特に朝日新聞)、人権派(フェミニスト含む)、市民運動(プロ市民)、親中派、親韓派、在日朝鮮韓国人、中国、韓国、アメリカ

無論、適当に挙げただけなので体系性はまったくないが、このなかで次の「悪玉」もしくは「敵」を探すとすれば何になるだろうか。

とりあえず可能性として高いのは、中国や韓国であろう。特に、小泉首相の有力な後継者である安部晋三であれば、中国、韓国あたりをチョイスし、強行な外交姿勢→中国・韓国の反発→それに対する日本人の反発、というマッチポンプ的なメカニズムを自らの権力維持に用いるだろうことは想像に難くない。(もっとも、そうなると「反日を国内での求心力維持のために利用している韓国や中国」とどっこいどっこいになるわけであるが)

その場合、国内の「敵」は、親中派、親韓派となり、外務省のチャイナスクールや朝日新聞あたりは徹底した攻撃の的になるだろう。また、彼はアンチ・ジェンダーフリーでも有名なので、日教組や人権派も、その内実はどうであれ、「国賊」のシンボルとして有効に利用されることになる。

無論、こうした「被害者」と「加害者」の構図が、現実の姿を映し出しているかどうかはかなり疑問の残るところである。しかし、今回の選挙は、「被害者」と「加害者」のイメージが、たとえそれが現実と大きく乖離していたとしても、選挙の行方を決定的に左右しうることを証明したのではないか。従って、政治家やマス・メディアが誰を次の「加害者」あるいは「国民の敵」として描き出すのかということが、今後の政局において極めて重要な要素になるだろう。

そうした構図が不毛かつ非生産的であることは言うまでもない。しかし、国民の支持を集めたいのなら、あるいはもっと消極的に自分が「加害者」に仕立て上げられるのが嫌なのなら、違う者を「加害者」のポジションに置くことが求められるようになるのかもしれない。それは、決して明るい未来ではないのだけれど。
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  by seutaro | 2005-09-12 20:46 | 政治・社会

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