<政治・社会>「成果主義型年金制度」解題

 前回のエントリ「成果主義型年金制度」は、当然、冗談である。というか、僕はそもそも年金制度の仕組みもよく分かっていないので、年金制度の是非について論じる資格はない。

 ただ、最近、分譲マンションの購入を計画していて思ったことがある。僕は決して高給取りではないし、貯金もたくさんあるわけではない。

 けれども、僕が何をどう頑張って手が届かないような高級物件が都心を中心として山のように売り出されて、しかもそれが結構な人気を博しているのはどういうわけなのだろう…との疑問を持ったわけだ。ここからも明らかなように、高額所得層も含めて日本人の所得は1995年との比較でかなり減少しているにもかかわらず、である。

 しかし、答えは単純で、要するに夫婦共働きの人たちや独身者がそうした高額物件を買っているのだ。

 さらに言えば、そうした駅近の高額物件というのは資産価値が高く、なかなか値崩れしないというか、むしろ値が上がったりすることもある。が、僕の手に届きそうなのは、都心からかなり離れた郊外の物件でしかなく、そうした物件はすぐに価値が大幅に下落するわけだ。そうなると、資産の面での差もどんどんと大きくなっていくだろう…。

 と、まあ、前回のエントリはこうした僕の私怨から生まれたもので、人様に声高に言えるようなものでは到底ないがゆえに、ネタという形になった。まあ、実際にこんな制度を導入したら、年金の不払いが急増して、あっという間に年金制度そのものが崩壊するだろう。

 けれども、ここで上記の問題を少子化という現象とからめて考えてみたい。

 日本とは逆に途上国なんかでは、人口爆発が生じている。これは、よく誤解されいるが、別に避妊の知識が普及していないからだとか、他に娯楽がないからとか、そういう理由ではない。そういった国々では子どもをたくさんつくることが合理的だから、子どもが増えるのである。

 栄養状態や衛生状態、さらには治安に問題がある環境では、子どもが成人する前に死ぬ可能性は高い。そのため、たくさんの子どもを保険としてつくっておく必要がある。

 また、年金制度等が完備されていない環境では、老いて働けなくなった後には子どもの稼ぎで生きていく必要がある。そのため、子どもの数が多ければ多いほど、個々の子どもの経済的負担が軽くなる。こうした事情に加えて、医療技術が発達してきた結果、子どもの数が爆発的に増えているわけだ。

 翻って、日本の現状を見てみると、子どもの数が減っているのは、要するに経済的に見て、子どもを作らないことが合理的な選択なのだということに起因するように思う。これまでいろいろな要因を挙げてきたものの、最大の理由は、結局のところ子どもなんぞ作らないほうがリッチに暮らせるということにあるのではないだろうか。

 だとすれば、少子化というのは、端的に言って、働く母親の支援だとかそういうレベルの問題ではなく、富の再配分の根幹に関わる問題ではないだろうか。要するに、子どもを作ったほうが経済的にみて合理的だ(もしくは、子どもを作ってもそれほど大損はしない)との判断ができなければ、人びとの行動パターンは変わらないのである。

 もちろん、子どもを持つという選択は、経済的な側面だけに還元できるわけではない。明け方に夜泣きする子どもをあやしながら近所をうろうろするなんてのは、損得感情だけではやっていられないのも事実だ。経済的に見れば無謀な選択をさせるパワーが、子どもの笑顔には確かにある。

 けれども、だからといって独身者やDINKSの人たちがリッチな生活をするのを横目に、子育てに忙殺される夫婦が満足な消費や旅行もできない現状が続くかぎり、子どもの数が大幅に増えることはないと断言していい。

 だから、なんというか、たとえばだ。税金、もうちょっとまけてくれないかなぁ(苦笑)。

(おまけ)このエントリを書くために、朝日新聞のDBをいじっていたら、『アエラ』の3年ほど前の記事で「シングル差別」に関するものがあった。

 要するに、扶養手当てがもらえないため、シングルは給与面で差別されてという内容である。が、その記事の後半は、シングル差別の「不当性」を訴える内容なのか何なのか、自動車やマンションの消費の中心はシングルなのであり、シングルこそが景気を下支えしているのだ・・・という内容であった。

 正直、これを書いた記者は頭に何か沸いているのではないかと思う。要するに家族持ちにくらべてシングルのほうが可処分所得は遥かに多いことが記事の後段では明らかにされているわけだ。その事実をもって「シングルへの不当な差別」の是正を訴えるというのは正気の沙汰とは思えない。実際、前の職場でも、シングルの同僚はボーナスで新しいPCだのギターだのを次から次へと買っていたのだが。
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  by seutaro | 2006-08-18 12:29 | 政治・社会

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