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<政治・社会>「教員への信頼」

 教育基本法の改正(悪)も決まってしまい、なんとなく憂鬱である。

 今の首相というのは、「教育」を政治問題化することに主眼を置いているのだそうな。けれども、検討されている政策を見ると、どれもこれも「あちゃ~」と言うほかないようなものばかり。「教育再生会議」だか何だか知らないが、文化人気取りのどーでも良い連中が好き勝手なことばかり言っているような印象だ。

 その一方で、朝令暮改の教育行政や、学校教育を「サービス業」か何かだと勘違いした保護者に振り回されて、教育現場の疲労は増すばかり。先日の新聞記事には、こういうものがある。

心病む教員、休職最多の4178人・05年度公立校
『日本経済新聞』12月15日
 全国の公立小中高校などの教員のうち、精神性疾患を理由とする2005年度の休職者は過去最多の4178人で、病気休職者総数の約6割に達したことが15日、文部科学省のまとめで分かった。前年度より619人増え、増加は13年連続。同僚との人間関係や保護者への対応を巡るストレスから不調に陥るケースが多いとみられる。

 病気休職者総数(7017人)に占める割合は3.1ポイント上昇して59.5%と、これまでで最も高かった。

 もう1つ。やや古いが、こういう記事もある。痛ましい話である。

公務災害:土日勤務常態化、教諭が過労自殺 両親「職全う」と認定を申請
『毎日新聞』2006年10月25日

 仕事の過労とストレスで抑うつ状態になり、今年5月に自殺した東京都新宿区立小学校の新任女性教諭(当時23歳)の両親が24日、公務災害認定を申請した。教師の仕事量が近年増加しているとの指摘があり、精神性疾患で休職する教師も増加している。両親は「職を全うしようとしたからこそ倒れたということを証明したい」とした。

 弁護士によると、今年4月から女性教諭は小学2年(児童22人)のクラスを担任。担任業務のほか、学習指導部など複数の職務を担当。区の新任向けの研修をこなし、授業の準備やリポート提出に追われていた。土日出勤も常態化し、時間外労働が1カ月130時間を超えていたと推定される。

 また、4月から5月にかけて、指導方法を巡り保護者とやりとりを繰り返し、対応に悩んでいたという。しかし、1学年1クラスのため、同学年内に新任教師に対する指導担当教員がおらず、十分な指導が受けられないと周囲に漏らしていた。

 教諭は5月に抑うつ状態と診断され、同月下旬に都内の自宅で自殺未遂を起こした。さらに同31日に自宅で自殺を図り、6月1日に死亡した。自宅に残されたノートには「無責任な私をお許しください。全(すべ)て私の無能さが原因です。家族のみんな ごめんなさい」と記されていた。

 両親は「誠実さと優しさと使命感に満ちあふれた若い人材が二度と同じ道を歩むことのないことを切に望んでいます」とコメントした。【吉永磨美】

 いまの「教育再生会議」とやらがいかにろくでもないかは既にいろいろなところで指摘されている(たとえば、ここ)。というわけで、今日は「教員への社会的信頼」というテーマで書いてみたい。

 少子化により教員の数も減ってきているわけだが、それでも日本にはたくさんの教員がいる。当然、そのなかには「素晴らしい先生」もいれば、「イマイチな先生」、さらには「酷い先生」もいる。難しいのは、児童や生徒との相性ということもあり、万人にとって「素晴らしい先生」というのはまず存在しないということなのだが、それは措こう。

 ともあれ、いろいろな先生がいて、そのなかには多少の「当たり外れ」があるのは不可避である。これは、教育がマニュアル化しきれないものである以上、しょうがないことであるし、昔からずっとそうである。

 しかし、現在の「教育問題」の特徴は、「教員への信頼」が徹底的に失われたということにあるのではないだろうか。その「信頼」が解体した大きな要因は、保護者の側の社会的属性の変化であり、マス・メディアによるヒステリックな報道、そして教育を政治問題化することで求心力を高めようとする政治家諸氏の動きである。

 まず、保護者の側の社会的属性の変化というのは、要するに保護者の側が高学歴になったということである。教育社会学などの知見によれば、かつての師範学校出の学校教師というのは、地域のエリートであり、権威という面においては現在と比較にならないほどに大きかったという。

 ところが、社会全般での教育水準が高くなり、場合によっては保護者のほうが教師よりも高学歴になるというケースがどんどん増えてくる。加えて、教育に対する社会的な関心の高まりもあって、「教師の権威」はどんどんと掘り崩されていく。そこから、子どもに知識を与えるだけの「サービス業者」のように教師を見なす保護者も増えてきたと考えられる。

 しかし、子どもが自発的に教員の言うことを聞くようにするためには、子どもの側が教員の「権威」を承認していなくてはならない。その点が、教育が「サービス業」とは異なる重要な点である。保護者が子どもに向かって「今度の先生はいまいちよねぇ」などと日常的に言うようになれば、教師の権威はもたない。

 無論、そうした現象は最近に始まったことではない。そのため、1970~1980年代の学校においては、「権威」の不足を「強制力」で補う形での秩序維持が行われていた。「荒れる学校教育」を前に、体育会系の教師が優先的に採用され、言うことをきかない生徒を力で押さえつけてきたというわけだ。

 しかし、そうしたタイプの管理教育には当然、限界がある。ガバナンスで言えば、自発的な服従を確保できたほうが、物理的な強制力の行使よりもずっと効果的だからだ。また、マス・メディアがそうした「体罰」に対する批判を強めたため、教員は権威の不足を強制力で補うことが出来なくなってきた。その結果が、「学級崩壊」なのだろう。

 そして、この「学級崩壊」にしても、マス・メディアがヒステリックに報道した結果、学校に対する信頼の失墜をさらに加速させることになったと言えるだろう。そこから、どっかの私立小学校から苦労もせずに大学を卒業した某首相が、教育問題を自らの政策アジェンダするという事態が生じることになったわけだ。

 繰り返しになるが、今の「教育再生会議」や、文部科学省による現場の締め付けが、教育を良くするとは僕には到底思えない。「教育再生会議」の最大の問題点は、「不適格教師の排除」というネガティブな方向ばかりに注目し、実際に現場で頑張っている教員のエネルギーや「やる気」をどうやって引き出すのかということが全然見えてこないことだ。

 僕は、とりあえず教育をどうにかしたいのであれば、マス・メディアも政治家も「学校のことを忘れる」というウチダ先生のこの意見に100%賛同する。締め付けによってしょうもないデスクワークや研修を増やす暇があるなら、教師が子どもたちと向き合える時間を可能な限り増やすべきだ。

 ウチダ先生に付け加えて言うと、「学校のことを忘れる」ためには、やはり教員に対する信頼の回復が不可欠ではないだろうか。もちろん、なかにはろくでもない教員がいることも事実である。子どもの死体が大好きな奴とか、幼児性愛癖のある奴などが教員にふさわしくないことは同意する。が、そうした不適格教員の排除は個々のケースごとにやるべきであって、政策のレベルでどうこうするという話にすべきではない。

 また、保護者の側にしても、仮に東大を首席で卒業していようとも、実際に教壇に立ち、教員の日々の業務をこなしたことがないかぎり、どこまでいっても素人なのだということを認識すべきなのだと思う。

 あとついでに言うと、教育をもっと良くしたいというのであれば、もっとカネを使わないと駄目だ。カネをかけずに精神論だけで何とかしようというのは、戦前の軍隊を思わせる発想である。というわけで、最後にこのグラフを掲載しておく。出典は、http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3950.html

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  by seutaro | 2006-12-17 10:38 | 政治・社会

<政治・社会>平成の関東軍


自民党の中川秀直幹事長は8日夜、埼玉県上尾市内での講演で、「国民生活とはかなりかけ離れた『駆け込み利上げ』はしないと信じたい」と述べ、日銀による追加利上げを強くけん制した。「金融政策の影響は大きい。政府としっかり意思疎通してもらわないといけない」とも強調した。

中川氏は今年7―9月期の国内総生産(GDP)改定値が大幅に下方修正されたことに関して「考え得る政策の影響はゼロ金利の解除などしか思い浮かばない」と述べ、日銀の金融政策が一因だとの認識を示した。そのうえで「金融政策が実体経済に与えた影響を検証し、国民に説明してほしい」と注文を付けた。
                                『読売新聞』2006年12月8日

実際には、中川幹事長は↓のような発言もしていたそうな。

「政府から独立しているという日銀のメンツのためだけに(利上げを)強行するなら、その代償は余りにも大きい。日銀には『平成の関東軍』などと言われないよう心から期待したい」

平成の関東軍…。いやホント、日銀って何考えてるのやら。
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  by seutaro | 2006-12-09 11:30 | 政治・社会

<政治・社会>労働問題入門

とりあえず流行っているのでコピペ。

フリーザ様に学ぶフリーター問題
http://stat.ameba.jp/user_images/e5/c2/10012572082.jpg

セルゲームに学ぶ「再チャレンジ支援税制」
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader364144.jpg

戸愚呂面接官に学ぶ中途採用基準
http://image.blog.livedoor.jp/news4vip2/imgs/1/5/156c3df1.jpg

三井寿に学ぶ派遣社員問題
http://image.blog.livedoor.jp/news4vip2/imgs/2/3/2318a878.jpg

孫一家に学ぶ「就職氷河期」問題
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/002/078/73/1/116622477515628515.jpg

縮小されちゃって見えないときは、縮小されている画像の上にポインタを置いておくと、「通常のサイズに伸ばす」という表示が出るので、それをクリックすること。

個人的には、団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)だけに「孫一家に学ぶ『就職氷河期』問題」がヒットかな。僕は大学院に行ってしまったので、就職活動はM2のときにちょっとやっただけだが、周囲のみんなは実に大変そうであった。

なんというか、団塊ジュニアっていろいろな面で損ばかりしているような気がする。受験しかり、就職しかり、住宅取得しかり。将来的には年金なんかでも辛い目に会うだろうしね・・・。

負けるな、団塊ジュニア!!

<追加>
ドラゴンの騎士に学ぶパラサイトニート問題
http://download.zenno.info/2006/12/2006121201.jpg

大魔導師ポップに学ぶ新卒の重要性
http://www.geocities.jp/sakusyu2006/index9.html

ワムウに学ぶホワイトカラーエグゼプション
http://gazouko2.tripod.com/img/jojo-zangyo.html
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  by seutaro | 2006-12-07 13:36 | 政治・社会

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